雑談で心理的な関わりを発揮する

心理のコツ

はじめに

 個人心理療法とは違って集団精神療法や精神科デイケアなどにおいては、面と向かって話を聞きますよという姿勢だけでは、話を聞かれる方はしんどくなってしまう場合もあります。それに集団の場で、一対一の心理面接のモードを導入してもうまく行きません。心理士/師としての関わりとしてもどうしても枠を設定してとなってしまいがちですが、少し柔軟にどんな話の聞き方が出来るか考えてみたいと思います。

枠のないところでの関わり

 雑談という話の構造であれば、気軽に感じて話しやすくなることも多くなります。そして何かを一緒に行いながらという状況であれば、より自然と話ができることが非常に多いです。心理的な関わりの部分として、転移解釈などを扱うこともあるかもしれませんが、それだけが心理的な関わりではもちろんありません。

 和やかな雰囲気で情報を交換し合う、情緒の交流を行うということは関係づくりでは基本的なことです。結果としてラポールの形成など非常に重要でかつ基礎的な関係性を作ることにつながります。技法に溺れてしまうと、こういった基本的なところが疎かになってしまいます。

枠がないと思っても、外側には枠がある

 確かに集団の場では個人心理療法のような時間的および空間的枠はありません。しかしその外側には、精神科デイケアという時間的枠がありますし、地域活動支援センターのようなサロンでも開所時間という枠があると言えます。その枠組みの中で起こったこととして、心理的なアセスメントは可能です。少し大きな視点でやり取りを見ていきましょう。

心理的な解釈は最後

 各種技法や解釈はその先にあると考えます。現場に出ているときは解釈をするというよりも現場に自分を溶け込ませるのが重要だと思います。もちろんメタ的な視点も大切ですが、現場に出ているとき、メンバーさんと接しているときは、解釈以前にメンバーさんの語りに、その場で起きていることに注意を向ける必要があります。

雑談の効果

 以上に見てきたことを踏まえると、集団の枠の中での関わりにおいて、雑談というのは場にマッチもするし効果的なやり取りの手段と言えます。そして心理的なアセスメントをする意味においても大切なやり取りとなります。次には自然な雑談の生まれやすい場面について考えたいと思います。

雑談の起こりやすい時や場所や作業

①テレビコーナー

 デイルームの中で雑談が起きやすい場所はテレビコーナーです。スタッフが何気なくテレビを見ているところからふと話が始まることが多いです。テレビ番組の話、家での過ごし方、興味のあることなどさまざまに広がって行きます。

② 新聞

 新聞それ自体もそうですが、広告を読んでいるときはアセスメントの宝庫です。特にスーパーのチラシは家での食事の様子などを聞ける絶好の場です。デイケアの近辺に住んでいる方にとってはまさに近所の出来事を話すことができます。

③ 食事やお茶

 コロナ禍のため今はできないことですが、一緒に何かを食べているときというのは自然な会話ができることが多いです。特にあったかい飲み物とか飲んでるときはそれだけでほっこりした気持ちになっていたのを思い出します。

④ クラフトコーナーでの作業

 就労継続支援施設などでの作業やデイケア内のクラフト作業などを一緒に行っているときは雑談が自然に発生することが多いです。塗り絵やパズルなど話しながらでも出来る作業は特に雑談にもってこいです。最近は百均などで売っているスクラッチアートなども良いなと個人的には思っています。作業をしながらなので、目線を外しながら話もでき、侵襲的な感じも減るという効果もあると思います。ただこの作業をしながらの関わりは作業療法士の方に見習うところが多くいつも勉強になっています。

 私個人的にはデイケアで必要な棚や台などを木工で作ることがあるのですが、その時が作業をしながら話がしやすいなと思う時間です。本棚やコップ棚はメンバーさんと雑談しながら作ったのは良い思い出です。

⑤ デイケアの掲示物の整理

 デイケアなどの場ではお知らせなどの掲示物などが様々あると思います。そんな掲示物やお知らせの冊子などの整理をしている時もチャンスです。デイケアなどの集団に関わることなので、気になるメンバーさんも多く声をかけやすくなる傾向にあると思います。デイケア内の片付け全般も効果的かもしれません。

注意点

 雑談を技法のように書いてしまいましたが、あくまで雑談は雑談です。狙いを持ち過ぎで雑談しようとするとぎこちなくなってしまいます。ある意味で雑談の時は雑談を楽しむという気持ちが大切です。

おわりに

 どうしても集団での関わりでは枠がないと思い心理の専門性を発揮できないと思うかもしれませんが、雑談でも重要な心理的な関わりの素材になりうることを見てきました。アセスメントは色々なところに開かれています。柔軟に見ていきましょう。

コメント

タイトルとURLをコピーしました