集団精神療法での立ち居振る舞い〜出来ないことは出来ないと言う〜

心理のコツ

はじめに

 集団精神療法の中においては特に、出来ることと出来ないことの判断が重要になります。そして出来ないことには出来ないと伝える勇気も必要になります。

 私自身も心理士になってまず躓いたことの一つが、枠をどのように守るかということでした。心理士になりたての頃は、経験もなく自信もないので、自分自身の心理士としてのアイデンティティを保とうとすることにこだわってしまいがちです。たとえば、「一対一での関わりを”するべき”」ということや、「面接の時間は必ず50分は確保”するべき”」などといった個人精神療法に由来する考え方です。この考え方とどのように付き合っていくのが良いかを考えていきたいと思います。

枠に縛られるな、枠を設定しよう

臨床心理の勉強をしていると枠の大切さ、特に時間的な枠について言われることが多いです。しかし枠を設定したり守ったりすることは大切でも縛られるのは良くないと感じられます。

集団の場で何かを行う時には、一対一での関わりをもつことが難しいことが多くなってきます。私の所属している精神科デイケアはグループでのリハビリを目指しているので場の目的からもグループという単位は避けて通れません。個人精神療法では無いのです。

でもそんな中でも個人個人に対応する場面は出て来ますし、もちろん必要なことになって来ます。しかし、無理な条件の枠を設定するとお互いにとって良くないと感じます。

枠を相談していくメリット

 長く時間をとって聞いた方がいいということや、どのタイミングで話を聞くことにするか、毎週決まった時間に行うかなどさまざまな枠についての設定があると思います。臨床心理を学んでいるとどうしても枠について教科書的な”こうあるべき”というプレッシャーを感じてしまいます(少なくとも私は最初はそうでした)。

 ただ教科書に載っているよう枠についても臨書の場から生まれてきた知恵だと考えると、その現場現場に合わせた、そしてメンバーさんに合わせた枠をお互いに納得して作り上げることが重要と感じています。

そもそも枠の意味とは?

 枠からはみ出た時に気づきそれを支援に活かすことが最大の目的です。無自覚に枠をはみ出し続けるのは良くないですが、枠をはみ出した現象それ自体は悪いことではないはずです。

 そう考えると組織の運営上毎回はみ出してしまうような枠が設定されてしまうと何をしていることかわからなくなってしまいます。守れないルールほどタチの悪いものはありません。ですので、枠については無理のない範囲で設定することがとても大切になります。例えば、精神科デイケア中に毎週1時間担当メンバー1人と面接を行うといっても、まわりの役割上それが可能かどうかです。もしそのような枠がメンバー、自分自身、周囲のスタッフにとって余裕をもって設定できるのであれば良いですが、数回目にはプログラムの手伝いに入って面接の時間を取れないのであればそれは無理のある設定だった可能性が高いです。

イレギュラーに備える

 ただしどれだけ無理のない範囲で枠を設定しても、枠をはみ出てしまうことがあります。その時は事前に想像されるリスクを伝えておくべきです。

 例えば、精神科デイケアのフロアにいる時に面談の申し出をされた時に同時に電話番もしていた時には、「15分くらいなら時間とれますけど、いま電話の当番もしているので、話の途中で電話がなったら出ないといけないですけどそれでもいいですか?」などと先に一言添えてみることが大事です。それでも良いと言うことであれば話をはじめたらいいと思いますし、嫌だと言うことなら「××時になったら時間が空くのでそれまで待っていてもらっても良いですか?」と提案するのが良いかと思います。ごく当たり前のことのように聞こえますが、なぜか臨床心理の考え方に頭がいっぱいになるとこの一言がなかなか出て来ませんでした。

まとめ

 枠を設定することは大切ですが、無理のない範囲で設定することがより大切です。メンバーにとってだけでなく、自分自身、そして周囲のスタッフにとって無理のない設定が大切です。それぞれに余裕がないと良い結果はなかなか生まれません。

そして、枠からはみ出る可能性は先に相手と共有することが大切です。

出来ないことを出来ないと”事前に”言う勇気も必要です。

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