自分の立ち位置を点検すること

心理のコツ

はじめに

 客観的に物事をみることは大切です。その最たるものが科学的な思考だと思うのですが、臨床的な場面で自然科学的なアプローチを取り続ける難しくもありますし、なじまないことも多々あります。特に数値などに落とし込めるものであれば誰が見ても同じになることが多いですが、数値に落とせない事柄もたくさん出てきます。しかしそれでもできるだけ正確なものの見方が重要になりますので、その際のコツを考えてみたいと思います。特に今回は「自分の立ち位置を点検すること」に焦点を当ててみたいと思います。

どこから見た視点なのかを確認する

 はじめは現象学的アプローチからのヒントですが、まずは自分の立ち位置を確認することが重要になります。どのようなレンズで世界を見ているのかということを自分で理解しておくということが大切になります。比喩的ですが、出来上がった写真を見ても、どんな機種のカメラやレンズで撮影したのかによって元の物体や事象の捉え方が変わってきます。もしかしたら、カメラではなくデッサンなのかもしれません。その意味でその事象を見ている人がどのような思考や立場の人で、どのような背景的知識や経験を持っているかを認識することが大切になります。

図と地を意識する

 ゲシュタルト心理学で、図と地の話がありますが、そこから得られるヒントもあります。何を図としてみるのか、何を地として見るのかで見え方が変わってきます。あの有名なルビンの壺などの錯視が最たるものです。

 またマッハの絵で現れているように本来は自分から見た景色には自分の手や足などが見切れるものです。しかし普通の絵は自分の手などは省かれて描かれることが多いです。たとえば今皆さんはスマホかパソコンで見ていると思うのですが、スマホを持つ自分自身の手や、パソコンのキーボードの上においている手などが実は見えていることが多いと思います。しかし、自分の視点においては、自分自身は切り落として風景を認識していることがとても多かったりします。

状況や立場によっても変わる

 最初に認知的な話をしましたが、文脈的にも同じことが言えます。自分自身はどの立ち位置にいるのかを認識することは大切です。
 
 スタッフなのか、実習生なのか、ボランティアなのか、当事者なのか?

 また組織内の一般職員なのか、部下を持つ管理職なのか、後輩のいる先輩なのか、全員が先輩の一番の後輩なのか?

 どのような職種としてその職場にいるのか。心理士/師なのか、精神保健福祉士なのな、看護師なのか、作業療法士なのか?

 肩書的についてる職種とは別に、メンバーさんや利用者さんからはどのような存在として認識されているのか?

 ざっと挙げるだけでも色々なものが考えられます。マッハの絵で考えたように自分自身の立ち位置はなかなかに見えづらいものであるので、常に意識する必要があります。

変わりうる自分、複数の自分

 以上では、あたかも自分は一つの役割に固定されそうな書き方をしましたが、当然のことながら関わる人によって変わってきます。先輩的な役割になるときもあれば、後輩的な役割になるときもあります。スタッフ的なところばかりでなく、メンバーさんから教えてもらうことは山ほどあります。そのため、柔軟に自分自身の位置づけや立ち位置を交換できることが重要になります。ある役割に固執し続けるとあまりいいことはありません。専門職であると同時に、その他たくさんの顔をもっているはずです。

おわりに

 専門家として頑張ろうと思うことは大切ですが、各文脈での立ち位置は異なってきますので、あまり肩肘張りすぎるのは良くなかったりします。専門家以外の面にもしっかりと意識を向ける必要があります。様々な自身の立ち位置を振り返りながら、一つに固定せずゆったりと構えてみることも大切になってきます。

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