グループ内で問題が生じたときに考えてみること

心理のコツ

スタッフ間で起こっている問題は集団で起こっている問題とリンクしている

 集団精神療法にせよ、精神科デイケアにせよグループを形成する際に運営するスタッフ側がどのような集団”観”をもっているかで集団の雰囲気は大きく変わってきます。これは精神科領域だけでなく、職場や学校などありとあらゆるグループに関係してくることかもしれません。ここではひとまず話を限定して精神科デイケアを例に考えてみますが、他のグループにも関係してくるとも思いますので自身の集団と重ね合わせて読んでもらえればと思います。
 今回のポイントは、スタッフ間で起こっている問題は集団で起こっている問題とリンクしているということです。

集団内で生じた問題を話し合っている、スタッフ間の力動を考える

 集団内に問題が生じたときに、その問題に対する見解の食い違いがスタッフ間で起こることはよくあります。その時に考えると良いことの一つは、スタッフ間の意見の食い違いと集団の問題とがリンクしていないかということです。特にケースのことを巡って意見の対立が起こったときには、この視点は有効なことがあります。

たとえば二人のメンバーが揉めているとき

 たとえば二人のメンバーさんが揉めている時があります。その時に無意識のうちにどちらか一方の肩を持ったスタッフともう一方の肩を持ったスタッフというのが現れることがあります。メンバー同士の揉め事を代理戦争のようにスタッフ同士でバチバチと繰り広げられているということが起こっていたりします。転移とはまた違いますが、似たような心の動きが出てきたりします。この時に自身が陥っている他のスタッフに対するイライラした感じやわかってもらえなさに気づくと当該メンバーの気持ちが想像でき、介入の糸口が掴めたりします。

たとえば”問題行動”に対処する場合

 集団内のルールについてメンバーさんからスタッフ側に不満が話されるということはよくあります。たとえば、問題行動をしているメンバーさんをどうにかしてくれと詰め寄られる場合などです。ちゃんと管理してほしいという要望がスタッフに向けて話されることがありますが、特に決定権がない新人などの場合は上司や先輩に掛け合うしかないのが現状だと思います。そしてなかなか明確なルールは設定できないので、自分でなんとか対処するしかない場合も多かったりします。そうなると上司に対してもっと管理してくれよという不満感が出てきたりします。そうなった場合、スタッフ間の(この場合は新人職員の私と上司)関係に生じる不和が、当該メンバーの心境を理解するきっかけになったりします。

おわりに

 もちろんすべての問題を結びつけて考える必要はないですし危険です。ただ視点を変えるという点から有効な場合が個人的には度々ありました。なにより問題を少し距離をもって見れるようになることが効果だと思われます。一つの選択肢として頭に入れておいても損はないのではと思います。にっちもさっちも行かなくなったときに思い出してもらえると幸いです。

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